伊織 椒のブログ(仮)

日々の生活、喜びと悲しみ、特別な出会い、ちょっとした考えや思いつきを書き残すもの。

『星と翼のパラドクス』ロケテスト感想(2018年2月23日版)

豊かな発想で『革命機ヴァルヴレイヴ』の強烈な魅力を生んだ関西リョウジ氏と、『ガンダム Gのレコンギスタ』や『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』などで洒脱なメカニックデザインを続々と放っている形部一平氏。好きな作家が関わっているので、発表時から強い興味がありました。運良く都合がついて体験できたので、感想を記録します。

私はアーケードゲームに疎く、即時的な判断を要求されるアクション系ゲームが得意ではない、アニメ愛好者です。今回は体感型アトラクションとして試したので、競技性についての価値判断は基本的に行っていません。試遊版への感想なので、賞賛よりも要望の方が多いです。記事の性質をご了承の後に続きをご覧ください。

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設置区画の様子

アーケード用体感型ゲームの中でも特に大きい筐体で、薄暗い店内ではホワイトを基調とする可動座席が一際目立ちました。特に、座席の発光部位が状況に応じて明滅、変色する機構は効果抜群でした。視界に入ると無意識的に興味を惹かれるデザインになっていると感じます。発光部位については、量や面積、発光パターンなどが増えても面白そうです。

待機列

両面刷りの簡素な説明書を渡されましたが、内容は不充分だったと思います。待ち時間には個人差があるので簡素な説明書は必要ですし、ビデオゲームに不慣れなプレイヤーに対しても容易な印象を与えられるかもしれませんが、実際のプレイではよくわからないままゲームを進めることになりました。プレイ後に配布される『ステップアップガイド』は、整理券と同時に欲しかったです。私は整理券獲得から数時間単位で待ったので、プレイ前に読み込む余裕がありました。もっとも、本格的な操縦体験を求めて最初からテクニカルモードを選択した私にも大いに非があります。

ゲーム開始

荷物を備え付けのポケットか棚に安置し、シートベルトを締め、コインを投入してゲーム開始です。座席稼働の安全用センサーがあるので、フットペダル付近には荷物を置けないのですが、安全用センサーの対象範囲が視覚的にわかりづらいことは問題です。色や模様で区別されるべきだと思います。シートベルトは腰の左右で締める形式なのですが、肩から腰へ通るものだという固定観念があったので、数秒間探してしまいました。

相棒とするアズワンや操縦機体は、手元のタッチパネル(サブモニター)で選びます。可動座席と比べると地味な装置ですが、アニメのメカニックでは定番の機構なので、実際に操作していると没入感で高揚します。今回は、知的な女性に惹かれてレイカを相棒に選び、最も美しいシーユー・レイターに搭乗しました。私が見た限りではレイカの人気が”最の高”でした。機体については、無難なソリディアと高速仕様のカーディナルが選ばれやすかったようです。

各要素の決定後は、搭乗機体がカタパルト射出されます。発進直前の相棒とサブモニター越しに手を触れ合わせる瞬間は、抜群の臨場感があってとても楽しかったです。手型アイコンの表示は初回プレイでの誘導に必要ですが、没入が阻害されて勿体無いので、再プレイ時は設定で無効にできると嬉しいです。

戦闘

戦闘の主な目的は、関門(ポート)を制圧し、開放された敵拠点(コア)を攻撃することです。戦況を示すゲージが尽きたチームは敗北します。基本ルールは単純明快ですが、機体の操縦が難しいので、ライトユーザー用の楽しくて丁寧なチュートリアルが必要だと思います。

最初からテクニカルモードを選択したことは、今回の最たる過ちでした。操作モードは随時変更可能と案内されますが、最後までオプションのボタンを識別できませんでした。ウェブサイトのメニューボタンのようなデザインではなく、設定を司るアイコンとして一般的な歯車にすべきです。

待機列で渡された説明書には、”移動と攻撃の方法がわかればOK!”という旨の記述がありましたが、移動と攻撃の両方が難しかったです。距離や速度の感覚がわかりづらいためか暴走しがちで、1戦目は暴走している内に終わりました。2戦目は操作方法を再確認して臨んだので上達しましたが、自動式ロックオンが扱いづらく、思い通りの動きとは言い難い結果でした。

ポートの位置や状態がわかりづらいことも難点です。判別できても、移動が難しいので停留は度々失敗しました。コア攻略の場合は、追突してから近接攻撃で暴れるという方法で最低限の役割は果たせるので、比較的容易でした。野蛮な戦法ですが、操縦方法がわからずに右往左往するより余程楽しいです。

臨場感

アズワンの描写は臨場感の演出を徹底してほしいです。各種演出やカットインにおけるカメラワークは、機内カメラ経由のように感じられるアングルにしてほしいですし、戦闘中のカットインや戦闘終了時の演出が静止していることも不自然でした。

音響演出も発展途上だと感じました。音量はもう少し大きい方が臨場感が強まりますし、台詞の種類は多いほど嬉しいです。機械を扱っている感覚が欲しいので、『ゼーガペイン』のようなシステム音声の実装も望みます(聴き逃していたらごめんなさい)。システム音声の論理的なアナウンスに被さって相棒の感情的な声が聴こえたりすると、きっと楽しいです。

主観視点モードは実装予定があるそうですが、やはり絶対に欲しいです。難度の問題を度外視するなら、豪華な筐体を三人称視点でのプレイに使う行為は勿体無いとすら思います。特殊筐体ならではの臨場感と比べれば、自分の乗機が見えなくなることなどは些細な問題です。

ハードウェア

イヤフォンジャックが欲しいです。武器切り替えホイールにはカチカチとしたクリック感がある方が好みです。

総評

筐体が豪華で、グラフィックも美しいので、1プレイ500円という価格設定に納得できる体験でした。体感型筐体の継続稼働においてはメンテナンスコストが重大な問題になるので(かつて私が好きだった体感型筐体は、メンテナンスコストの問題によりほぼ現存していません)、正式稼働後に値下げされなくても仕方がありません。

操縦体験というハード的な新規性だけでは飽きられやすそうなので、最大の課題は新鮮なソフト的要素の継続供給になると思います。映像作品に限っても月額数百円から1000円程度で観放題の現代において、半端な作品に長く付き合うことは難しいです。人型メカニックを題材とする対戦ゲームはありふれているので、正式稼働版では特殊筐体を更に活かす要素を増やして、〈操縦できる劇場〉としての性質を追求してほしいです。

もちろん、新たな人物やメカニックにも期待しています。知的でしっとりとしている長身美女のアズワンが追加されると、とても嬉しいです。