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伊織 椒のブログ(仮)

日々の生活、喜びと悲しみ、特別な出会い、ちょっとした考えや思いつきを書き残すもの。

『機動戦士ガンダム サンダーボルト』 第1話先行上映会について

ガンプラEXPO ワールドツアージャパン 2015〉において行われた『機動戦士ガンダム サンダーボルト』(以下「TB」)第1話先行上映会の、初回分についての覚え書きと感想です。松尾衡監督達によるトークショーが行われたSPステージ(第3回分)の内容については各種ニュースサイトを参照してください。

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上映前挨拶について

10時30分になり、サンライズの小形プロデューサーとバンダイホビー事業部の柿谷氏が登壇。トークショー付きSPステージの整理券配布数が非常に少なかった(当日配布分は40枚程度だった)ことを踏まえてか、第1回ステージこそが『TB』第1話の記念すべき世界初公開の場であると説明されました。

親子連れの観客がいることを確認した小形Pは、『TB』は高年齢層向けの作品であるため、子供に問題だと思う描写があれば「シュッと(目隠し)してください」と保護者に説明しつつ、中学生になったらまた観直してほしい、とアニメ版『TB』を紹介。

続いて柿谷氏から、原作漫画やキットを含めた『TB』シリーズ全体のこれまでの経緯が説明されました。HGキットの箱絵制作を担当した際の原作者は「今までで一番緊張した」と述べていた、という裏話もありました。

そして、小形Pによるアニメ版の主要スタッフの紹介へ。まずは監督の松尾衡氏について。これまでに『新訳Ζ』のスタジオ演出(P曰く、実質的には「スタジオ監督」とのこと)や、『機動戦士ガンダム戦記 アバンタイトル』や『革命機ヴァルヴレイヴ』などの監督を務めた実績を紹介。『ガンダム戦記』におけるジムの格好良さに言及しつつ、空間演出の巧さや『Gのレコンギスタ』におけるマックナイフのくるくると回る戦闘描写(松尾氏が絵コンテと演出を担当した第12話のもの)が今回監督に選ばれた理由であると説明。ちなみに、ガンプラEXPOの一部としての上映会でありながら、『ガンプラビルダーズ』への言及は意外なほどにありませんでした。

キャラクターデザインを担当する高谷浩利氏は濃い絵柄の人物が特徴である一方、『ガンダムUC』ではメカニック作画(ユニコーンとバンシィがネオ・ジオングと戦う場面など)を数多く担当していただいたという経緯があるため、今回は人物の担当によって「発散」をしていただくつもりだそうです。


メカニカルデザインを担当する仲盛文氏は、実は小形Pへ原作を持ち込んで『TB』アニメ化の発端となった人物であることが明かされました。アニメ版『TB』では諸事情によりメカニックを作画で表現することになったものの、仲氏の意欲が発端の企画なので、最後まで手描きでやり遂げていただく予定、とのこと。

原作の重要な要素にジャズがありますが、小形Pや周囲のスタッフがジャズに疎いことや、普通ではないジャズを作品に使いたいという事情があり、『TB』の音楽はジャズのスペシャリストである菊地成孔氏に依頼したそうです。1回目の打ち合わせでは『ガンダム』に疎かった菊地氏ですが、2回目の打ち合わせでは小形P以上に原作を読み込んでおり、ノリノリだったそうです。

そして、『TB』において行われる、ガンダムシリーズ初の試みが紹介されました。購入したデータを永久に視聴できる配信販売方式〈EST〉の採用。そして、4K及びハイレゾの採用による高画質、高音質の実現。今回の上映会も4K対応設備にて上映されました。小形Pは背景の情報量が見どころだと語る一方、4K方式では手描き作品故の粗が目立ってしまうかもしれないので、それは見逃してほしい、とも仰っていました。

アニメ版『TB』の制作は2015年の春頃から動いており、第2話も完成間近とのことです。また、キットについても、2016年にはMG版が発売されるそうです。


本編の感想

素晴らしい完成度でした。

第1話の脚本、絵コンテ、演出は松尾衡監督が単独で担当されていました。原作の第4話までの内容を基としていて、物語の大筋は原作と同じですが、構成や演出には独自性がありました。描写の追加や台詞の微妙な変更、そしてアニメという媒体ならではの演出によって、登場人物の人物像や魅力は原作以上に感じられました。

人物描写の面白さはもちろんとして、高品質な画や音も素晴らしかったです。アニメならではの直感的な魅力が豊富なだけでなく、それぞれの要素の相互作用による奥深さもあったと思います。特に象徴的だったのは、終盤のフルアーマー・ガンダムが発進する場面です。ピアノから始まるジャズに合わせてモノトーン系の色彩のガンダムが登場、他のMSとは明らかに格が違う駆動音が鳴り響き、操縦者であるイオはそのエネルギーに感動。そして圧倒的な演出と作画でイオとガンダムの実力が描かれるアクションへ続く…… 第1話最大の見せ場だと思います。

恐ろしいほどの強さを有したメカニックキャラクターの表現は、松尾監督の過去作である『ガンダム戦記』や『ヴァルヴレイヴ』から引き続いて、今回もとても巧妙だと思います。イオのフルアーマー・ガンダムだけでなく、もちろん、冒頭のダリルの狙撃もです。

アニメ版『TB』にはもう1つ特徴があります。原作にあった下品な描写のいくつかが削除されていて、品が良い作品になっています。更に、色彩設計や撮影処理による画面の雰囲気の華やかさや、音楽を活かした演出もあって、全体的に洒脱な作品に仕上がっていると思います。原作の雰囲気と違うと思われることもあるでしょうが、私はアニメ版の方が断然好きです。今回の上映会は男性参加者が多かったのですが、アニメ版『TB』はいわゆる「男向け」的な、一辺倒的な作品では決してないと思います。子供が観るには適さないという意見には同意しますが、様々な層に受け入れられ得る魅力がある作品だと感じました。


アニメ版『TB』は大満足の作品でした。早く続きを観たいです。