伊織 椒のブログ(仮)

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『Good luck for you』商品化記念・『革命機ヴァルヴレイヴ』第5話の光と闇について

(2015年4月23日17時3分に加筆修正を行いました)


2015年4月22日に、『革命機ヴァルヴレイヴ』の第5話で使用された挿入歌『Good luck for you』が初めて商品化されました。本編使用版は戸松遥氏が流木野サキ(戸松遥)として歌唱を担当したものですが、今回商品化されたのは南里侑香氏が歌唱を担当した新音源です。南里氏独特のかわいらしくもどこか哀愁を感じさせる歌声によって新しい命を得た『Good luck for you』は、本編使用版とはまた異なる新しい魅力に富んでおり、すっかり気に入った私は購入してから何度も繰り返し聴いています。

また、アルバム『one day』には『ヴァルヴレイヴ』で使用された挿入歌『Mother land』も収録されています。こちらは以前からダウンロード販売が行われていましたが、CD商品としての発売は今回が初めてです。

今日はこれらの挿入歌の発売を記念して、『ヴァルヴレイヴ』第5話における『Good luck for you』の使用箇所を振り返ります。


one day (DVD付初回限定盤)

one day (DVD付初回限定盤)

 

 

当該場面では、歌詞の内容と画が一致するカットが連続します。

 

「携帯置き忘れたり」:破損した携帯端末

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「あのコと喧嘩をしたり」:当該場面以前にサキと喧嘩をしていたタカヒ達

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「そうとうツイテない日もあるんだけど」:破壊された校舎(これは確かにそうとうツイテない)

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「美味しいご飯を食べて」

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ここが重要な箇所です。ギャオラの着ぐるみを着た霊屋が女子生徒を追う画なのですが、これは確かに「美味しいご飯」を示す画なのです。ギャオラの着ぐるみが当該場面以前に果たした役割と、『ヴァルヴレイヴ』における「ご飯」を参照すれば意味を読み取れます。


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暗闇の中で、ハルトの意図を外れてタカヒのスカートの内側へ侵入するギャオラの角。

第9話にて、「オナカ、スイタ」と述べるピノ。

第10話にて、暗闇の中で、マギウスの衝動に取り憑かれ、ハルト本人の意図を外れてサキを犯すハルト。

「導き出される結論は…」

 

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「”美味しいご飯”だ」



曲調も歌詞も明朗な楽曲『Good luck for you』と、悲劇的展開の示唆を組み合わせるこの皮肉ぶりは第5話に限ったものではなく、『ヴァルヴレイヴ』は成功や勝利といった〈光〉と、失敗や敗北といった〈闇〉を表裏一体のものとして示す場合が多いと思います。第1話の、ハルトが涙する場面は象徴的です。晴天のWIREDアイコンや沢山の人の反応が表示されている携帯端末を映すカットと、夜の闇の中で独りで涙するハルトを映すカットは、画面の明るさまでもが対比されています。まさに"光と闇"です。



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『ヴァルヴレイヴ』のこうした多面的な世界観は、作品と向き合う鑑賞者が各々の価値観と心情と判断次第で"光と闇のどちらにでも居れる"余地を実現しているとともに、とても誠実な世界観であるとも思います。この多面性は『ヴァルヴレイヴ』の強烈な魅力だと思います。

 

また、「美味しいご飯を食べて」の直前の「そうとうツイテない日もあるんだけど」の箇所から、軽快な曲調とは対照的に極めて深刻な不幸が示されており、こちらについてもブラックユーモア的な解釈が可能です。第5話に限らず、『ヴァルヴレイヴ』はシリーズの全体にこうしたブラックユーモア的要素が用意されていると思います。


シリーズ構成と脚本を担当した大河内一楼氏は『革命機ヴァルヴレイヴ OFFICIAL FAN BOOK』のインタビューにて

”上がってくるデザインをストーリーにアップデートする形で作っていきました。”

”たとえば、ヴァルヴレイヴの1号機のラフデザインを見たとき、「悪」の印象を受けたんですね。まだ色もついてない線画でしたけど、「悪」っぽくて、カッコいいな、と思ったんです。だったら、ここに乗るのもダークヒーロー的な主人公かなと、イメージが広がっていくわけです。”

”「悪」でカッコいいロボットを、お話的にはどんな要素で見せたらいいのだろうか。精神的な悪人、悪い組織のロボット……色々な悪がある中で、今回は「呪い」という悪を選んだんです。その悪性に主人公が苦しむ話はどうだろうって。”

 と述べています。数々のブラックユーモア的要素は、こうした考えによって作られたストーリーに基づいた演出の結果であり、"光と闇"の一部なのだと思います。また、破壊された校舎の描写は、咲森学園の学生達の苦難を示していますし、ギャオラの着ぐるみを着て女子生徒を追う霊屋は、霊屋達の過去の活動成果を示すとともに、ハルト達を待つ今後の悲劇的展開の示唆も兼ねています。ブラックユーモアと解釈できる描写もまた様々な意味を含んでいることも、『ヴァルヴレイヴ』の特徴だと思います。



 

そして、南里氏版『Good luck for you』の魅力について繰り返しますが、南里氏の、かわいらしくもどこか哀愁を感じさせる独特の歌声の多面性はとても『ヴァルヴレイヴ』らしいものではないでしょうか。本編の様々な光と闇を想いながら『Good luck for you』を聴けば、より多彩な魅力を示してくれるのではないかと思います。



放送開始2周年を迎え、アニマックスにおける再放送が開始し、挿入歌のCDが発売し、発売時期未定ながらも『デザイナーズノート』の発売も一応控えている今に『ヴァルヴレイヴ』を観ると、今だからこその新しい楽しみを見出せるのではないかと思います。


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