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伊織 椒のブログ(仮)

日々の生活、喜びと悲しみ、特別な出会い、ちょっとした考えや思いつきを書き残すもの。

『jewelries! 』第3弾収録カバー曲リクエスト募集に応募した文章

複数人のアイドルに対して応募楽曲を考えていましたが、奏に歌ってほしい楽曲についての文章を締め切り時間の寸前まで弄っていたので、他のアイドルに対しての文章はほんの1行ずつ程度となってしまいました。奏に歌ってほしい楽曲についての文章だけはそれなりの量を書けたので、案が採用されることを祈りつつ、記念として公開しておきます。応募した文章には、句読点やスペースや改行についての失敗がありましたが、記事に掲載するにあたって修正してあります。それ以外の要素は一切変更していません。とにかく必死だったので表現に間違いがあるかもしれませんが、愛嬌だと思っていただければ幸いです。

 

 

今回の企画はまさに千載一遇の機会であると思い、速水奏という人物が歌うに相応しい究極の1曲を示すことを目標としました。果たして選んだ乾坤一擲の楽曲こそが『romanesque ~ Full Size Mix』です。

奏に相応しい究極の1曲を選ぶにあたり、楽曲に要求した条件は3つです。
1.〈既存の楽曲とは異なる魅力の発揮を期待できること〉
2.〈速水奏による歌への言及内容を踏襲していること〉
3.〈各種作品において示されてきた速水奏の性格や人格、そしてアイドルとしての在り方を損なわない世界観や雰囲気であること〉

まず、1つ目の条件について。奏の強烈な特徴として、しばしば行う哲学的な言動や、[蒼翼の乙女]、[夜色の花嫁]、[追憶のヴァニタス]といったカードのイラストで見せる幻想的かつ神秘的な姿がありますが、残念ながらこれらは『Hotel Moonside』では十分に表現されなかったと思います。よって、今回応募する楽曲は、奏の哲学的な世界観や幻想的かつ神秘的な姿に相応しいものを選ぼうとしました。『Hotel Moonside』は、都会的で先進的で強かで…… 奏の様々な魅力を示した素晴らしい楽曲だと思いますが、今回は、その対となるような楽曲を見出す心構えで臨みました。

そして選んだ楽曲が『romanesque ~Full Size Mix』です。奏の世界観を表現するような歌詞と、歴史あるアナログ楽器の数々による音色、そして情感に満ちたメロディが演出する幻想的かつ神秘的で切ない雰囲気は、奏に捧げる究極の1曲に相応しいと確信しています。また、シングルに収録された音源よりも約30秒長い『Full Size Mix』版であることは極めて重要です。この版には”夢のような時に終わりは来るのね 寂しい額には月の優しさ……”という歌詞のCメロが追加されています。これはほんの僅かでありながら、決定的な差異です。”終わらない夏のように 散らない花のように 抱きしめたその腕を ずっと離さないでいてよ”という詞が楽曲の最初と最後にあります。諸行無常を知りつつも永遠の如き愛情を求めてしまう心情がとても奏らしいと思うのですが、Cメロの詞が現実や寂しさを強調することで、冷静に現実を認めながらも理想を渇望する情熱を棄てることはない奏の在り方に一層接近するのです。また、”寂しい額には月の優しさ……”という詞は、夜や月に縁があり、髪をセンターパートにしている奏にとても似合うため、やはり『Full Size Mix』版であるべきなのです。

挑戦的で強かな歌詞のEDMだった『Hotel Moonside』と、アナログ楽器の音色と共に切実な感情を歌いあげる『romanesque ~Full Size Mix』は、対照的でありながら、どちらからも奏の魅力を存分に見出だせると思います。奏という人物には多面的で複雑な魅力がありますから、既に歌った楽曲に似たものを再び歌わせては、貴重な機会が勿体無いです。むしろ、ここまで対照的な楽曲の両方が似合うという事実によって、奏の魅力を表現、増幅していただきたいです。また、奏(飯田友子氏)の個性的な声質には、原曲のヴォーカリストである南里侑香氏の爽やかな歌声とは別種の魅力があるため、楽曲にとっても、新しい命を吹き込まれる好機であると確信しています。

次に、2つ目の条件について。好きな歌や、歌ってみたい歌について、奏は複数回言及しています。
「プロデューサーさんは、どんな歌が好き? 私は、激しくて悲しい、恋の歌が好きかしら。 破滅に向かうような、そんな歌……。もっとも、歌うなら希望がある歌がいいわね。歌の世界にまで救いがなかったら、切なすぎるもの。……そう思わない?」(出典:モバゲー版『シンデレラガールズ』)
「うーん。歌ってみたい曲、ねえ。私の曲『Hotel Moonside』は、クールでエレクトロなダンスサウンドだから、歌っていて気持ちいいわね。次の曲は…… 悲しくて報われない、恋の歌なんてどうかしら。……ふふっ、しっとりとした曲は似合わないかもしれないから、やっぱり、BPMが高めの曲がいいわね」(出典:『マジックアワー』)
以上の発言は、今回の選定条件として、可能な限り尊重すべきだと考えています。
『romanesque ~Full Size Mix』は充分な速さのテンポの楽曲だと思います。楽曲全体の雰囲気も情熱的で、「しっとり」という形容はあまり似合わないでしょう。また、悲しみや激しい情念を伴う恋の歌でありながら、絶望的ではないと思います。奏の意向にも合致した楽曲でしょう。

そして、3つ目の条件について。どれだけ優れた楽曲であろうと、奏に似合わなかったり、奏での在り方や魅力を損なうものでは本末転倒です。特に強く意識したことは、奏の節度です。奏の特徴の1つに、キスという要素があります。しかし、いつでも誰にでもキスをする人物では決してありません。私は、奏にとってのキスとは本気の感情の象徴であると解釈しています。
「ねえ、プロデューサーさん、誰にでもキスをねだるような女だなんて思わないでね。ま、信じてくれていると思うけど……」(出典:モバゲー版『シンデレラガールズ
奏には様々な特徴がありますが、キスは特に目立つ特徴として認知されている風潮があると思います。しかし、奏のあらゆる人格的特徴の根源は、本気を求める感情だと思うのです。自分に対して本気で向き合ってくれる人物を求めているから、本気で向き合う価値がある人物としての自分を演出し続けている。生来の美貌を確かな力として扱いつつも、演じることを決してやめない。高みを目指して研ぎ澄まされた心が異物の様に扱われてしまう平凡な世界から外れて常在戦場の生を選ぶ。恋愛という関わりのかたちを強く意識するのも、個人に対する本気の想いの果ては恋愛だという認識によるものでしょう。奏は決して、軽薄な人物ではありません。本気の人です。冷静な知性と情熱的な感情を兼ね備えている心こそが、奏の魅力の根幹だと思うのです。そして、奏は挑戦的、挑発的な振る舞いこそしばしば行いますが、決して下品な人物ではありません。キスや恋愛への言及から様々な誤解をされていることが多い印象がありますが、そうした現状は担当Pとして極めて遺憾です。表面的なことだけをなぞって、核心を捉えられないようではいけません。『romanesque ~Full Size Mix』の詞に、キスを直接的に表現する要素が含まれていないことは偶然です。ただしそれは、哲学的な世界観や幻想的かつ神秘的な雰囲気、そして奏という人物の在り方を優先した楽曲選択の結果でもあります。奏に対する印象が「キスの人」で止まってしまっている人々にも、奏の豊かな魅力にもっと気付いてほしいという願いの結果とも言えます。

公募が始まるずっと前から想ってきた夢の形として悔いの無い選曲をできました。何度も悩みましたが、今ではこの選曲と奏への愛に絶対的な自信があります。是非ご検討ください。